2007 Fiscal Year Annual Research Report
準巨視的量子重ね合わせ状態の生成・制御・検出技術の研究
Project/Area Number |
19340115
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
佐々木 雅英 National Institute of Information and Communications Technology, 第一研究部門新世代ネットワーク研究センター・光波量子・ミリ波ICTグループ, 研究マネージャー (50359064)
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Keywords | 量子コンピュータ / 応用光学・応用光工学 / スクイーズド光 / 重ね合わせ状態 / 光子検出器 |
Research Abstract |
今年度の目標は、スクイーズド光からわずかに分岐したトリガービームを2つの光子検出器で測定し、2光子同時検出事象によって条件付けされる重ね合わせ状態を生成・観測することである。これまでの1光子検出事象トリガーによる実験とは異なり、2光子検出事象のトリガーレートが格段に低くなるため、実験の難易度も急激に高くなる。光源、トリガー光子検出器回路、重ね合わせ状態評価用ホモダイン回路、及び系全体の安定化回路の各特性を詳細に調べた結果、非古典的効果を顕著に引き出すためには、安定化回路の特性を当初予想より格段に向上させることが必須と判明した。そこで、スクイージングレベルを向上させるかわりに、位相ロックの手法を抜本的に見直すこととした。 具体的には、これまで回転式光学チョッパーにより500Hz周期で光子検出モードと位相ロックモードを切り替えていた方式を、音響光学変調器2台の組み合わにより10kHz周期で切り替える方式に変更した。さらに、状態評価用ホモダイン回路での位相マーカーを少ないトリガーレートでも正確の付けられる手法を開発した。これによってデータ取得時間は、当初予定の10倍からさらに1000倍まで伸延することに成功した。 その結果、2つの光子の検出時問の間隔を自在に100ns程度の範囲で自在に選ぶことが可能になった。そして、2光子検出の時間間隔を最適化することによって、これまで知られていなかった新しい量子干渉制御が可能であることを見出した。理論解析を進めた結果、2光子検出の時間間隔がスクィージングの相関時間と同程度となる領域で、時間対称モードと時間反対称モードからの識別不可能な2光子検出過程が量子的に干渉し、時間差ゼロの2光子同時検出よりさらに大きな重ね合わせ状態を生成できることが実証できた。その予備的な成果を国際会議で発表し、現在、4編の論文に執筆中である。
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