2008 Fiscal Year Annual Research Report
電場下における高分子ブロック共重合体の秩序・無秩序相転移ダイナミクス現象の解明
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19340117
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
谷口 貴志 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60293669)
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Keywords | 高分子ブロック共重合体 / 電場 / メソ構造 / 構造制御 / 配向 / 相転移ダイナミクス / コンピュータ・シミュレーション |
Research Abstract |
高分子ブロック共重合体は、数十nmで層間隔が均一なミクロ相分離構造を形成するため、近年、応用の観点からこのミクロ相分離構造を制御する技術の確立が望まれている。その技術として電場による制御が期待されている。しかし、相分離構造を形成している系に電場を印加しラメラ構造を電場方向に配列させる従来の方法では数十kV/mmの非常に高い電場が必要であった。そこで我々は、より低い電場強度でラメラ状ドメインを配列させる方法がないか検討を行い、秩序・無秩序相転移点(以下T_<ODT>)近傍では以前の約1/10の電場強度で高配向の構造が得られることを確認した。しかし、なぜこの程度の低電場で配向が実現できたのか、また配向へ至る動的過程に関しては全く解明されていない。このような背景から本研究は「電場下での高分子ブロック共重合体の秩序・無秩序相転移タイナミクス現象の解明」を目的に研究を行った。まず高分子ブロック共重合体試料の相構造を原子間力顕微鏡(AFM)により観察し、また小角X線散乱実験の結果とを合わせてT_<ODT>を決定した。T_<ODT>近傍で、2kV/mm程度の低電場を印加し、ラメラが配向することを確認した。また、なぜ低電場により配向が実現できたのかを調べるために、相構造変化時のドメインの配向度の経時変化を時分割SAXSによって測定し, 各時刻でのAFM像の解析を行った。それらの結果とブロック共重合体相構造形成の数値計算から低電場での配向機構が「電場下でのグレインの回転運動」に由来していることを実験的及び理論的に明らかにした。つまり「高温の無秩序相からT_<ODT>近傍に急冷した系に電場を印加した系では、まずランダムに配向したグレインが出現し、或るサイズまで成長したところで電場の影響(Maxwell力)が効き始め、ラメラ面が電場方向に配向するようにグレインが回転運動することで、従来より低電場でメソスケールの構造の配向が実現する」ことが分かった。
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Research Products
(7 results)