2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340118
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
今井 正幸 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (60251485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 香織 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 助教 (50323861)
浦上 直人 山口大学, 理工学研究科, 講師 (50314795)
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Keywords | 生体膜 / 多成分ベシクル / 膜変形 / 膜内相分離 / 自発曲率 / 膜接着 / ADEモデル / 発芽 |
Research Abstract |
我々は生体膜の示す様々な膜変形現象を、多成分ベシクルを用いたモデルを通して研究してきた。今年度は生体膜の持つ2つの特徴、膜内外の浸透圧差と膜内相分離によるドメイン構造をベシクルに導入し、競合させる実験を行った。高温で均一なベシクルの膜外に塩を加え、浸透圧差によってベシクルが様々な形状まで変形した後に、それぞれの形状で温度を転移点以下に下げ相分離させた。その結果ベシクルは、相分離を境に均一系とは全く異なる変形経路を示した。相分離初期過程では、2分子膜の非対称性によって分岐していた様々な多角形ベシクルが、2つのドメインを両側に持つ赤血球型ベシクルへと集約する様子や、チューブ状ベシクルが、同じく2つのドメインを両側に持つ赤血球型ベシクルを複数個連続させたネックレス形状へと変形する様子が観察された。相分離後期過程では、相分離直前にベシクルが持つ余剰面積値によって、ドメインがベシクルの内側もしくは外側に発芽する様子が観察された。我々は、これら様々な変形現象を、複数のドメインを持つベシクルに対してADE modelに基づくエネルギー解析を行い定性的に説明した。 また、自発曲率の異なる2種類のリン脂質を混合し、相分離現象と結合させることにより、自発曲率を利用した膜接着(hemifusion)を起こす事を実験的に明らかにし、膜の弾性モデルを用いてその理論的な背景を解明した。
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