2009 Fiscal Year Annual Research Report
多結晶ダイヤを用いたコア条件下の超高圧高温実験に基づくコアの物質科学的研究
Project/Area Number |
19340122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 健彦 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (20126189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 卓 東京大学, 物性研究所, 助教 (90343938)
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Keywords | 超高圧 / 実験技術 / ダイヤモンドアンビル / レーザー加熱 / コア / 下部マントル |
Research Abstract |
本研究は、新しい超硬素材である多結晶ナノダイヤモンドで作成したアンビルを用いて、従来の限界を超す超高圧高温条件をダイヤモンドアンビルで発生する技術を開発し、それを用いて地球の内核に関する実験を推進しようとするものである。 本年度は多結晶ナノダイヤを用いた技術開発も進める一方、それと平行して地球の核に関する大きな問題として残されていたキセノン欠損に関する超高圧高温実験を、昨年度の結果をふまえさらに発展させた形で行った。具体的にはXe-Fe系の超高圧高温実験をコアの圧力に相当する150GPaまで行い、そこで数千°まで加熱してもXeとFeは全く反応せず、Fe中へのXeの固溶も見られないことを、ダイヤモンドアンビルとレーザー加熱を組み合わせ、SPring-8でのX線その場観察実験で明確に示すことができた。従来同様の実験は約50GPaまでしか行われておらず、キセノンが金属化する120GPa以上の圧力では様相が一変するのではないかとの予測もあったが、結果的にはFeとXeが共にhcpの金属になるものの、その原子体積があまりにも違いすぎて固溶も起きないことが明らかになった。この結果は従来地球のコア中に隠されているのではないかと考えられていた欠損キセノンが、コア以外のどこかに存在するか、または地球核生成過程そのものを見直さねばならないという結論に結びつく。この研究結果は論文にまとめ、Geophysical Research Letter誌に発表された。また多結晶ナノダイヤに関する研究は、愛媛大グループと共同して実験を進め、それらの結果は平成21年7月に開かれたAIRAPTで発表すると共に、そのプロシーディングス、およびReview of Scientific Instruments誌に発表された。
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Research Products
(14 results)