2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗田 敬 The University of Tokyo, 地震研究所, 教授 (00111451)
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Keywords | マントル対流 / プルーム / 熱組成プルーム / 温度場計測 / 熱・組成場マッピング / マントルトモグラフィー / D"層 / 多相流体 |
Research Abstract |
19年度に製作を行った温度場・組成場同時マッピングシステムを用いて熱・組成(化学)プルームの上昇実験を主に行った.水槽下部においた高密度層をヒーターで加熱し、加熱形成されたプルームがどのように上部の液体層を上昇していくのかを観察した.加熱源の投入電力、重い層と上部層との液体の密度差、重い層の層厚、各液の粘性をコントロールパラメータとして系統的な実験を行い、上昇プルームが崩壊する「Failed Plume」現象の存在を明らかにし、その生成条件を解明した.Failed Plumeでは加熱され熱的に浮力を得たコンポジット・プルーム(下部の重い液体と上部の軽い液体からなる熱・組成プルーム)は上昇途中でhydrodynamic entrainmentと冷却により浮力を失い、軽い液体からなる上昇する熱プルームと重い液体からなる下降する組成プルームに分裂する現象である.特に組成プルームは高温でかつ化学組成的にも低地震波速度が期待されるために、マントルトモグラフィーでは十分に検出可能な速度異常が期待される.アイスランド近辺のトモグラフィーデータとの比較からFailed Plummeの存在を提案した.通常低速度領域は高温の証拠とされ、上層域と解釈されるが、本研究で明らかにされた「Failed Plume」では高温でありながら低速度で沈降しているものである.マントルトモグラフィーの解釈に重要な教訓を与えたといえよう.又多相流体系の挙動がこのような対流現象の理解には不可欠なために、基礎となる数値計算法の開発を共同で行った.
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Research Products
(5 results)