2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本海溝に沈み込む太平洋プレートの温度構造と水の分布の研究
Project/Area Number |
19340125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山野 誠 The University of Tokyo, 地震研究所, 准教授 (60191368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 聖至 東京大学, 地震研究所, 助教 (70371721)
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Keywords | 地殻熱流量 / 沈み込み帯 / 日本海溝 / 地下温度構造 / 電気伝導度構造 / 火成活動 / 海洋プレート |
Research Abstract |
1.平成20年7月〜8月の「よこすか」YK08-09航海で、太平洋プレート内の火成活動(プチスポット)により最近形成された海丘の周囲において、高密度の熱流量測定を行った。その結果、海丘のごく近傍で非常に低い熱流量が得られ、火山体に伴って間隙流体の流れが生じていることが推定された。 2.20年8月〜9月の「かいれい」KR08-10航海、同年10月の「淡青丸」KT-08-25航海において、北緯40度15分付近、及び37度50分付近の日本海溝周辺海域で熱流量測定を実施した。どちらの緯度においても、海溝海側斜面上部からアウターライズにかけて、海底年齢に応じた値と異常に高い値が入り交じって観測された。この熱流量分布は、以前に測定を行った北緯38度45分付近と同様のものであり、日本海溝海側の高熱流量異常は、海溝北部の広い範囲に及んでいると考えられる。 3.KR08-10航海で、海溝陸側の水深約1400mの地点で海底水温計を回収した。得られた約10か月の記録は0.6度を超える水温変動を示し、熱流量測定には水温変動の影響の除去が不可欠であることが判明した。同航海では、自己浮上式の海底水温計2台、熱流量計2台を設置し、長期計測を開始した。 4.同航海で、無人探査機「かいこう7000II」を用いた人工電流源海底電磁探査の基礎実験を行い、水深6000mの海底において人工電流送受信が行えることを確認した。また海溝海側の太平洋プレート上で、海底電位差磁力計(OBEM)3台を設置・回収した。これにより沈み込む前の太平洋プレートの地殻〜マントル電気伝導度構造が明らかになることが期待される。さらに、海溝陸側斜面に長期型OBEM2台を設置した。 5.プレート内火成活動や正断層の発達の影響を評価するため、太平洋プレート表層部の温度構造について、マグマの貫入や間隙流体の流れを含む数値モデル計算を行った。
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