2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本海溝に沈み込む太平洋プレートの温度構造と水の分布の研究
Project/Area Number |
19340125
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山野 誠 東京大学, 地震研究所, 准教授 (60191368)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 聖至 東京大学, 地震研究所, 助教 (70371721)
|
Keywords | 日本海溝 / 沈み込み帯 / 地殻熱流量 / 地下温度構造 / 比抵抗構造 / 太平洋プレート / 海洋地殻 / 地震発生帯 |
Research Abstract |
1.平成21年の「淡青丸」KT-09-8、「かいれい」KR09-16、22年の「かいれい」KR10-12の3航海において、北緯38~40度付近の日本海溝周辺海域で熱流量測定を実施した。海溝海側斜面からアウターライズにかけての熱流量異常(平均的に海底年齢に対して高く、ばらつきが大きい)が、海溝北部の広域にわたっていることが確認された。また、海溝軸から150km以上東では高熱流量は観測されず、熱流量異常は沈み込みに伴う太平洋プレートの変形に関係すると考えられる。 2.KR09-16航海で、海溝陸側の水深2000m以下の海域において、自己浮上式の海底水温計1台、熱流量計2台を回収し、約14か月間の温度記録を得た。このデータを解析し、日本海溝陸側の浅海域では初めて、信頼できる熱流量値を求めることができた。 3.KT-09-8、KR09-16、KR10-12航海で、長周期型及び短周期型の海底電位磁力計(OBEM)の設置・回収を行い、海溝海側と陸側の計11点で良質な電磁場データを得た。予備的な解析の結果、海底地形効果のみでは説明困難な応答関数が求められ、比抵抗構造の不均質性を示唆している。また、無人探査機「かいこう7000II」を用いて、海底面上に展張したケーブルによる人工電流送信を行うことに成功した。OBEMで受信した信号を解析した結果、海底下数百mの比抵抗が海底直下よりも低くなる傾向が見られ、海洋地殻が水を多く含んでいる可能性が示された。 4.20~22年度の航海で採取した堆積物試料について、各種物性の測定のほか、火山灰分析による年代推定を行った。また、帯磁率異方性の測定結果に基づいて、底層流の卓越流向を推定した。 5.太平洋プレート上層の温度構造について、海洋地殻上部の高透水率層、正断層に沿った透水率の増加を考慮した数値モデル計算を行い、地震発生帯の温度構造への影響評価を試みた。
|
Research Products
(15 results)