2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 孝典 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80114643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 彩子 東京大学, 気候システム研究センター, 准教授 (30272537)
杉田 精司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (80313203)
大野 宗祐 千葉工業大学, 惑星探査研究センター準備室, 研究員 (80432631)
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Keywords | 天体衝突 / 惑星表層環境 / 衝突脱ガス / 大気進化 / 生命の起源 / 地球化学 / 高速分光計則 / 惑星大気 |
Research Abstract |
地球の気候システムの理解は、今や純粋な学問的興味にとどまらず、広く社会一般からの切実な要請がある課題である.本研究の目的は,堆積岩及び各種氷の衝突脱ガス過程における化学反応過程の解明を実験的に行うこと、さらに脱ガス過程からの反応生成物が地球気候システムに及ぼす影響の定量的な評価を行うことの2点てある。 研究初年度の本年度においては、地球上の最も典型的な堆積岩鉱物である方解石(CaCO_3)の衝突脱ガス反応計測実験を、我々の研究グループで開発してきたレーザー銃を用いて行った。実験には、純粋に衝撃加熱に起因する化学反応を計測しやすいように、反応性が低い金の箔を弾丸として用いた。実験結果は、方解石に含まれる炭酸ガス成分が衝突に際して化学分解して一酸化炭素として放出されることを示していた。この結果は、四重極質量分析計による直接ガス成分分析によって示されただけでなく、光電子分光法を用いた衝突後の金箔の酸化還元状態計測からも支持された(衝突後にも金が化学反応せずに金属状態のままであることが確認された)。この結果は、K/T衝突事件に代表される炭酸塩岩地域への天体衝突からは、従来考えられてきたような二酸化炭素の発生ではなく、一酸化炭素の発生が激しく起こる可能性を示唆している。この結果を踏まえ、一酸化炭素の大量発生が引き起こす地球環境変動を大気化学反応計算を用いて推定した。理論計算の結果は、一酸化炭素は大気中に大量の強力な温室効果ガスであるオゾンの生成を引き起こし、極めて効率的な地球温暖化が生じることを強く示唆するものであった。計算には幾つかの仮定があるため、今回の結果が直ちにK/T衝突後の激しい温暖化を結論づけるものではないが、天体衝突という地球外からの擾乱を評価する際に衝突脱ガス化学反応過程が非常に重要であることを初めて示したという点で、大きな意義を持つ結果である。
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[Presentation] Acceleration of projectiles to >10 km/s with a laser gun : Toward silicate impact vaporization experiments2008
Author(s)
Sugita, S., T. Kadono, K. Shigemori, S. Fujioka, K. Otani, T. Sano, Y. Sakawa, H. Azechi, N. Ozaki, T. Kimura, K. Miyanishi, T. Endo, M. Arakawa, A. M. Nakamura, T. Matsui
Organizer
39^<th> Lunar and Planetary Science Conference
Place of Presentation
League City, Texas, USA
Year and Date
2008-03-13
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