2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340135
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小寺 邦彦 Nagoya University, 太陽地球環境研究所, 客員教授 (70343887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安成 哲三 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (80115956)
柴田 清孝 名古屋大学, 気象庁気象研究所・環境応用研究部, 室長 (50354494)
黒田 友二 名古屋大学, 気象庁気象研究所・気候研究部, 主任研究官 (80343888)
堀 正岳 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 研究員 (60432225)
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Keywords | 国際研究者交流 / 多国籍 / 太陽活動 / 気候変動 / 成層圏・対流圏結合 |
Research Abstract |
太陽活動の気候への影響は地球の表面が受ける太陽エネルギーの変化を通して起こると考えられてきた。しかしこれまでの研究をから太陽活動の影響は成層圏循環の変化を通して対流圏に及ぶというプロセスが重要であることを明らかにしてきた。現在のところ太陽活動の影響についての研究の為に必要な観測データ、数値モデルはともに不十分なため国際的な協力のもとに研究を進める。 SPARC計画の太陽活動の影響研究(SOLARIS)に参加しているモデル・グループから太陽活動の影響実験データを収集し太陽活動に伴う環状モードの変調について観測データとの比較を行った。マックスプランク研究所のモデル実験において太陽活動と成層圏準二年振動のそれぞれの南北両半球の環状モードの変調を調べた。残念ながらモデルではどちらの効果も再現されていないことが分かった。しかし、アメリカ大気科学センターモデル実験の結果からは観測ほど明瞭ではないが太陽活動に伴う北大西洋振動の変調が見出された。 太陽活動の影響は冬の成層圏界面付近でのプラネタリー波と帯状平均流の相互作用により増幅し冬の対流圏に伝わる事、また子午面循環の変調を通して熱帯下部成層圏に伝わるという概念モデルをこれまでに提唱していたが、これでは熱帯の中部成層圏で観測されるオゾンや気温の極小を説明できない。そこで観測とモデル実験結果を比較することにより太陽活動の影響が初冬から晩冬への季節進行を通して変化する過程を含めた新たな概念モデルの構築を試みた。 成層圏突然昇温の発生に太陽活動の影響が見られることから太陽活動の影響が成層圏から熱帯対流圏に伝わるプロセスを理解する為に成層圏突然昇温時の熱帯の雲の変化を衛星観測データを用いて調べた。その結果成層圏循環の変化の影響は対流圏界面を超える背の高い対流が起こる地域(アフリカ、海洋大陸、南アメリカ)で顕著に現れることが分かった。
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