2009 Fiscal Year Annual Research Report
亜酸化窒素濃度分布を介した北極域オゾン層の長期変動に関する研究
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19340138
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
秋吉 英治 National Institute for Environmental Studies, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (80211697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 考史 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (90312230)
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Keywords | N2O / オゾン / 成層圏 / 気候変動 / 化学気候モデル / 長期変動 / 化学 / 輸送 |
Research Abstract |
今年度は、化学気候モデルの121年間(1980年~2100年)の計算結果に基づき、子午面循環とEP-fluxの年々変動を調べ、これらの量の、極渦崩壊時期の早い年と遅い年との対応、およびそれらの年の亜酸化窒素濃度との対応、さらに、オゾン濃度との対応を調べた。その結果、極渦崩壊時期の早い年は、対流圏から成層圏へ入るEP-fluxが大きく、それに伴って、子午面循環が強くなっていることがねかった。そして、下部成層圏の亜酸化窒素濃度は低くなり、オゾン濃度は高くなっていた。また、極渦崩壊時期の遅い年は、この逆の傾向があることがわかった。 次に、子午面循環の北極域の下降流の強さがある値以下で、下部成層圏の亜酸化窒素濃度がある値以上の年のみ(輸送の影響が小さい場合)、長期的に見るとハロゲン量の増加/減少に呼応したオゾン量の減少/増加が見られる、などといった北極域オゾン破壊の経年変動の分類化が可能かどうかに着目した解析を行った。これらの値に閾値をいくつか設けて、それらの閾値以上(以下)について、計算を行った120年を分類した。閾値の値によっては、ハロゲン量の増加/減少に呼応したオゾン量の減少/増加が見られる場合があることがわかった。今後この解析をさらに進めて解析の精度を上げ、亜酸化窒素濃度を指標にして北極域のオゾン量の年々変動の輸送による変動を取り除き、ハロゲンによるオゾン層破壊量の不確定性を縮小することができるかどうか、また、北極域のオゾン量変動の振幅が最近増加している事実を説明できるかどうかについて検討する。 関連研究として、化学気候モデルを用いた共同研究で、成層圏気温のトレンドに関する研究、成層圏オゾンの変動の対流圏気温変動への影響のメカニズムに関する研究、エルニーニョと北半球冬の気温およびオゾンとの相関の研究を行った。また、大気の子午面循環に関連して、SAGE観測データを使って成層圏エアロゾルの季節変動の研究を行った。
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[Journal Article] Coupled chemistry climate model simulations of stratospheric temperatures and their trends for the recent past2009
Author(s)
Austin, J., R.J.Wilson, H.Akiyoshi, S.Bekki, N.Butchart, C.Claud, V.I.Fomichev, P.Forster R.R.Garcia, N.P.Gillett, P.Keckhut, U.Langematz, E.Manzini, T.Nagashima, W.J.Randel, E.Rozanov, K.Shibata, K.Shine, H.Struthers, D.W.J.Thompson, F.Wu, S.Yoden
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Journal Title
Geophys.Res.Lett. 36
Pages: L13809(1-5)
Peer Reviewed
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[Journal Article] Northern winter stratospheric temperature and ozone responses to ENSO inferred from an ensemble of Chemistry Climate Models2009
Author(s)
Cagnazzo, C., E.Manzini, N.Calvo, A.Douglass, H.Akiyoshi, S.Bekki, M.Chipperfield, M.Dameris, M.Deushi, A.Fischer, H.Garny, A.Gettelman, M.A.Giorgetta, D.Plummer, E.Rozanov, T.G.Shepherd, K.Shibata, A.Stenke, H.Struthers, W.Tian
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Journal Title
Atmos.Chem.Phys. 9
Pages: 8935-8948
Peer Reviewed
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