2007 Fiscal Year Annual Research Report
電離園イオン観測用高時間分解能イオン質量分析器の開発
Project/Area Number |
19340144
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
早川 基 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 教授 (90167594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 琢美 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (40255229)
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Keywords | 磁気圏・電離圏 / 低エネルギー / 質量分析 |
Research Abstract |
極域電離圏からのイオン流失に関わる超熱的イオンを観測する高時間分解能のイオン質量分析器を開発するためには、実験室で超熱的イオンを自在に発生・制御する装置が不可欠である。今年度は、新しい低エネルギーイオンビーム発生装置の開発を行った。熱的エネルギーの数倍程度の数eV以下のイオンビームを発生させるには、熱的イオンを電界で加速させる従来型のイオンビーム発生装置では、イオンの加速エネルギーに熱的エネルギー程度のばらつきが避けられないために非常に困難である。そこで本研究では、中性気体のビームを発生させた後に電離してイオンビームとする方法を検討した。その結果、ビーム速度を決定する中性気体ビームの発生方法として、以下の2つの方法を採用した。1.漏れ出しビーム:平均自由行程がノズル径より大きい場合は、熱速度程度の分子ビームが発生する。分子運動を直接的に取り扱うモンテカルロ直接法(DSMC法)を用いて数値シミュレーションを行い、最適なノズル形状と得られるビーム速度を求めた。2.超音速分子ビーム:平均自由行程がノズル径より小さい場合は、超音速自由噴流が発生する。ビーム速度の制御方法を理論的に検討した。どちらの手法も貯気槽内の中性気体の圧力・温度・混合比を調整することでビーム速度を制御できることがわかったので、両者をひとつの真空チェンバーで使用可能とするためにバルブ・加熱装置・ノズル・スキマー・コリメーターなどで構成されるシステムの設計および改修を行った。また、中性気体ビームを電離するための電子ビーム発生装置を設計した。中性気体の電離断面積が最大となる100eV極度のエネルギーで数mAの大電流の電子ビームを放出可能な電子ビーム発生装置として、フィラメントを陰極に用いた熱電子放出型の電子銃を採用した。さらに電子ビームの放出状態を可視化するためのシンチレーターについても設計を行った。
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