電離圏イオン観測用高時間分解能イオン質量分析器の開発

2008 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19340144
• Research Institution: Japan Aerospace Exploration Agency
• Principal Investigator: 早川 基 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 教授 (90167594)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 阿部 琢美 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (40255229)
• Keywords: 磁気圏・電離圏 / 低エネルギーイオン / 質量分析

Research Abstract

極域電離圏からのイオン流失に関わる超熱的イオンを観測する高時間分解能のイオン質量分析器を開発するためには、実験室で超熱的イオンを自在に発生・制御する装置が不可欠である。今年度は昨年度に引き続き、新しい低エネルギーイオンビーム発生装置の開発を行った。熱的エネルギーの数倍程度の数eV以下のイオンビームを発生させるには、熱的イオンを電界で加速させる従来型のイオンビーム発生装置では、イオンの加速エネルギーに熱的エネルギー程度のばらつきが避けられないために非常に困難である。昨年度はこの為の方法として、中性気体のビームを発生させた後に電離してイオンビームとする方法を検討した。今年度は昨年度の結果を受け、以下の2点の開発を行った。
1.昨年度設計を行った中性ガスビームを電離するための電子銃、電子ビームの総電流、ビームプロファイルを可視化するためのシンチレーター及びこれらを制御ならびにデータを収集するためのシステムの製作。製作された電子銃は設計どおりに動作し、数十〜百eVのエネルギー範囲においてmA程度の大電子電流を発生させられる事、ビームのプロファイルも設計された形状が得られる事等を確認した。
2.開発を目指している電離園イオン観測用高時間分解能イオン質量分析器の検出部の開発。本研究では検出部としてMCPとCCDを光ファイバーで結合した検出系を考えている。飛翔体搭載時にはCCDの読み出し回路も設計することになるが、実験室モデルでは既存のCCDカメラを改造してこの部分を製作することにした。このためのCCDカメラの購入と検出部全体の設計を行った。予算が足りなかったため、MCPとCCDとの光ファイバーでの結合など検出部の製作は平成21年度の作業に送ることになった。