2009 Fiscal Year Annual Research Report
中高エネルギー電子計測用2次元イメージャ検出器の開発
Project/Area Number |
19340145
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
高島 健 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部宇宙プラズマ研究系, 准教授 (10298193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅村 和史 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙プラズマ研究系, 助教 (50321568)
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Keywords | 高放射線環境 / APD / 中エネルギー電子 / 3次元計測 / 衛星搭載機器 |
Research Abstract |
3次元分布関数計測に向けた大型有感領域をもつアバランシアホトダイオード(APD)を開発し、電子に対する検出効率の一様性の確認を行い、ほぼ1%程度の検出効率誤差が生じていないことを確認した。また、強放射線環境下でのAPDの劣化特性を確認するため、宇宙放射線帯を模擬した高エネルギーの陽子(70-120MeV)を照射して、リーク電流と分解能変化を測定した。その結果、リーク電流は照射量とともに、ほぼリニアに増加していくのに比べて、エネルギー分解能の変化はほとんどないことが確認できた。ただし、ブレイクダウン電圧は照射量とともに下がる傾向を示しており、放射線帯での観測への応用時には、注意が必要であることがわかった。大面積のAPDは静電容量がこれまでの小さなAPDにくらべて約10倍程度大きくなっている。そのため、従来の電子回路による読出しでは、静電容量によるパルスの立ち上がり特性が悪いために、十分なエネルギー分解能をえることができなかった。静電容量の大きなAPDに対応するために、電荷有感型前置増幅器の再設計を実施した。その結果、数100pF以上の静電容量を持つAPDに対しても2keV程度(Si換算)のエネルギー分解能を達成することができた。高エネルギー電子計測においては、検出器中での電子散乱も考慮し、Geant4を用いたシミュレーションによって片面ストリップ型検出器の大きさを30mm程度に決定した。一方で、放射線帯でのバックグランド粒子(主に陽子)の除去のためにストリップ幅は50-70μmにしなければいけないことも判明した。ストリップSi検出器はこれまで、開発してきた専用ASICにてアナログ処理だけを実施してきた。今回の検討結果より強放射線環境下で計測させるために、ADCを含むASICを用いる設計とした。本研究によって、放射線帯観測に向けたイメージャ検出器の基本性能の検証ができた。
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