Research Abstract |
太平洋〜大西洋間の流通における北極海の役割, および海洋構造の復元手法に主眼をおいて解析を続けた. その結果, 海流システムの変遷や海洋の共通性の点で様々な新知見を得た. すなわち, 北大西洋のIODP試料による珪藻化石の解析から海流の変動を明らかにし, 珪藻マットの生成過程について国際誌に発表した. 大洋間の生物交流の観点からは, 浮遊性有孔虫の特定種に関してサイズ変化を測定, 大洋間の共通性とその意義について議論し, その成果を国際誌へ発表した. 一方, 北極海を原因とする環境変動が日本海へどのような影響を及ぼすかに関して貝化石と石灰質ナンノ化石から復元, 鮮新世における対馬海峡の存在意義と暖流の流路について明らかにし, 地質学雑誌へ発表した. さらに, 赤道太平洋の試料を用い, 群集組成, 栄養塩, 海水準変動, 水温などの関連性について明らかにし, 国際誌へ公表した. 一方, これまでの成果とりまとめとして, 東北大における日本古生物学会および秋田大学での日本地質学会でシンポジウムを主催した. 古生物学会では環境変動/水温/生産性/海洋構造, それぞれの関わり合いを議論, 海洋物理研究者との情報交換も含め, 四次元からの水塊構造解釈の重要性を提案した. これらの成果は平成21年度の古生物学会特集号に掲載予定である. 一方, 地質学会では, 北極海の役割につて焦点を絞り, 北大西洋と北太平洋の生物地理の観点から新生代後期の海洋変動について議論した. これらの研究は引き続き継続し, 20年度のシンポジウム成果に基づいて, 平成21年度はさらに研究を発展させて総括する予定である.
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