Research Abstract |
今年度は,1)海底堆積物中に含まれる有機化合物,特に飽和脂肪酸の単離・精製法の確立と,2)微小スケール(100μgあるいはそれ以下)で放射性炭素年代を測定するためのグラファイト精製ラインの作成をおこなった。1)については,高速液体クロマトグラフ/光散乱検出器を用いてカラムの種類カラムの温度条件,溶媒条件について検討し,分取コレクターによるC14,C16,C18の直鎖脂肪酸の精製法をほぼ確立することができた。ただし,C17の分岐脂肪酸がC16脂肪酸のピークに重なっているため,それを除去する方法を現在試行錯誤している段階である。この手法が完成すれば,これまで数日かけて精製していた脂肪酸が,わずか1時間以内に精製することが可能になり,研究のスピードを一気に加速させることになるだろう。2)については,カリフォルニア大学アーバイン校におけるグラファイト精製ラインを参考にして設計図を書き,現在製作段階にある。来年度の初頭までには完成させて,微量試料を用いた放射性炭素年代測定のテストに入りたいと考えている。また,米国の共同研究者を通じて,かつて南極ロス海およびその近傍において採取された海底堆積物試料を手に入れた。また,現在行われている航海において,当該研究に使用する新しい堆積物コア試料の採取を行い,成功した。来年度早々には,それらが日本に空輸されてくる予定である。南極の試料は手に入れにくいため,非常に貴重な試料を手に入れることができた。
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