2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340159
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山岸 晧彦 東邦大学, 理学部, 訪問教授 (70001865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 敏博 東京大学, 理学系研究科, 准教授 (50282728)
井上 厚行 千葉大学, 理学部, 教授 (30150270)
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Keywords | 粘土鉱物 / シス型スメクタイト / カオリナイト / イモグライト / 粘土LB膜 / 振動円二色性 / 立体選択的吸着 / 鋳型反応 |
Research Abstract |
本研究では、不斉原子配列を有すると考えられる粘土鉱物(シス型スメクタイト、カオリナイトおよびイモグライト)を取り上げ、はたして予測されるような不斉構造があるのか、あるとすれば純粋な光学活体の一方を得ることができるかを検討した。まず物理的な分光法(電子顕微鏡、X線構造解析、円偏光二色性)を用いて鉱物の原子配列を明らかにすることを試みた。さらに化学的な方法(選択的沈殿法、クロマトグラフ法)を用いて、鉱物粒子の光学分割を行った。具体的には、以下の3つの研究を遂行した:(1)不斉構造を有する多形が存在することが知られているカオリナイトについて、一方の対掌体を取り出しその不斉構造を確定した;(2)チューブ状粘土鉱物であるイモグライトを人工合成しらせん状のものの有無を原子間力顕微鏡で探査した;(3)シス型スメクタイトに対してこれまで開発してきたラングミュア・ブロジェット法により超薄粘土膜を製造した。 前年度までにはキラルなカオリナイト鉱物を得るために液体カラムクロマトフィーによる光学分割を試みた。さらにシリケート結合の不斉構造性を検出するために振動円二色性(VCD)を適用することを試みた。その結果、VCD法によってキラルなシリケート構造に含まれるSi-O振動が円二色性を示すことができた。本年度はこの方法をさらに発展させ、キラルな構造を有するシス型スメクタイト(ラセミ混合物)の水分散液を下相にもちいて、キラルな金属錯体の単分子膜を水上状に形成させ、立体選択的な吸着を利用して粘土単一層膜を形成させた。得られた膜のVCD測定により、キラルなSi-O振動を検出するができた。今後この結果をさらに発展させ、得られた不斉膜をテンプレートしたキラル粘土鉱物の人工合成およびキラルなシス型粘土鉱物の多量分離を目指す足場となった。
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Research Products
(4 results)