2009 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントル条件における珪酸塩鉱物及び類縁物質の高圧相平衡と熱力学的性質
Project/Area Number |
19340166
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
赤荻 正樹 Gakushuin University, 理学部, 教授 (30126560)
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Keywords | 下部マントル / 高圧相転移 / 熱量測定 / 熱力学的性質 / ペロブスカイト / ポストペロブスカト / カルシウムフェライト / 熱容量 |
Research Abstract |
1. 示差走査熱量計(パーキンエルマー社)を用いて、Mg_2SiO_4スピネルの高温熱容量を温度範囲298~833Kで高精度の測定を行った。このデータは3~303KでPPMS装置を使って測定された低温熱容量(Akaogi et al., 2007)とよく整合する結果であり、従来の高温熱容量の実験」データに比べて顕著に大きい値であった。この結果を使って、Mg_2SiO_4ポストスピネル転移境界線の熱力学計算を行い、その勾配にMg_2SiO_4スピネルの高温熱容量が大きく影響することが示された。 2. CaAl_4Si_2O_11-NaAl_3Si_3O_11系のCAS相に関する高圧相平衡実験を23GPa、1900℃まで行い、CAS相へのNa端成分の固溶量は1600℃では約50%であり、それが温度とともに急速に増加することを明確に示した。この結果を用い、衝撃変成を受けた隕石中に最近発見されたNaに富むCAS固溶体の形成された温度圧力条件を推定した。 3. MgAl_2O_4の高圧相関係を27GPa、2500℃まで詳細に調べ、平成20年度に構造決定した新高圧相Mg_2Al_2O_5を含む相関係を確立した。この結果、MgAl_2O_4スピネルは高圧下で最初にMgO+Al_2O_3に分解するが、2000℃以上ではMg_2Al_2O_5+Al_2O_3に分解することが示された。 4. A^2+B^4+O^3ペロブスカイトの高圧相転移の研究において、六方晶ペロブスカイトPbMnO_3が15GPaで正方晶ペロブスカイトに転移することを見出した。またCaRhO_3組成のポストペロブスカイト相の磁性、電気伝導性、低温熱容量を測定し、約90Kで反強磁性転移を起こすことを明らかにした。
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Research Products
(15 results)