2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19340169
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
海老原 充 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 教授 (10152000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 亮 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (70321560)
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Keywords | 太陽系初期の衝突 / HED隕石 / ユークライト / ホワルダイト / 白金族元素 |
Research Abstract |
本研究では,太陽系形成初期におこったと考えられる大規模な衝突現象に注目し,その結果もたらされる物質の進化に関しての知見を得ることを目的とする.ここで考える衝突とは,現在の惑星を作る素材物質と考えられる微惑星であり,そうした小天体が太陽系初期には無数に存在し,衝突合体を繰り返しながら成長し,その後現在見られるような惑星系が形成されたと考えちれる.このように,衝突現象は太陽系形成の一大過程であり,本研究はその過程を化学的、および鉱物学的視点から解明することを目的とする.これまで本研究を行う上で最適な試料としてHED隕石をとりあげてきたが,本年度もHED隕石を中心に研究を行った.HED隕石は分化した隕石の代表的な隕石グループで,4Vestaを起源とする隕石であると考えられている.このうちユークライト隕石は玄武岩質の隕石で,小惑星の表層物質であったと考えられている.このユークライト隕石中には本来白金族元素の含有量が極端に乏しい.またホワルダイト隕石は角礫岩であり,ほかの種類の隕石のかけらを含む.これらの隕石中の白金族元素含有量を正確に定量し,その衝突の履歴を明らかにした.白金族元素の定量は誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)法により行い,白金族元素6元素すべてを定量することができた.また,同時に中性子放射化分析法を用いて主成分元素,微量元素の含有量を定量した.これらのデータを基に,HED隕石の化学的特徴を明らかにするとともに,その白金族元素組成を説明するための衝突物質を特定するとともに,衝突の際にどのような化学的変化が生じたかについて考察した.その成果を国際隕石学会年会,および月惑星科学会議において発表した.
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Research Products
(20 results)