Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 雄一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90144170)
古川 勝 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (80360428)
斎藤 晴彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (60415164)
森川 惇二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (70192375)
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Research Abstract |
磁気圏型のダイポール磁場に閉じ込められた回転プラズマの中で起こる様々な揺動の安定性・伝播特性について,その強い非一様性,過渡性,非線形性を精密に分析し,それが引き起こす様々な「異常現象」の物理的メカニズムを明らかにした.とくに,RT-1装置の最適化(誤差磁場の低減や壁面状態の改善)を通じて,電子ベーダ値>0.7,エネルギー閉じ込め時間>0.1sを達成た.また,純電子プラズマの閉じ込めでは,閉じ込め時間(プラズマの保持時間)>300sを達成している.これらの研究を通じて,磁気圏磁場配位の中で起こる「内向き拡散」が明らかになった.この現象は,座標空間と磁気座標空間のメトリックの違いによって説明できる.磁化された荷電粒子は,サイクロトロン運動,バウンス運動という周期運動によって時空間で「階層化」され,磁気座標空間の多様体上を運動するようになる.粒子衝突などの散逸過程で,この多様体がかき乱されない限り,磁化によるトポロジー束縛が運動や構造を支配する.このために磁気座標空間の(束縛された)熱平衡は座標空間で独特な偏り(すなわち構造)をもつようになるのである(この偏りは,両空間の変換を与えるヤコビアンによって表わされる).とくに純電子プラズマ(非中性プラズマ)においては,この平衡構造は剛体回転渦となるが(プラズマ内部の電場構造や揺動の空間構造を分析することで確認された),これはシヤー回転が引き起こすKelvin-Helmholtz不安定性の自由エネルギーがなくなった基底状態への緩和を意味する.これらの実験結果は,並行しておこなった理論解析の結果と一致しており,磁気圏という強い磁場非一様性をもつ空間のなかで生じるプラズマ現象の興味深い特性が明らかになったといえる.
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