2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子の光誘起超高速電子ダイナミクス-電子動力学法の開発と光電子スペクトル計算-
Project/Area Number |
19350001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河野 裕彦 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (70178226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 秀実 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (30291892)
加藤 毅 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (10321986)
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Keywords | 原子・分子物理 / 光電子スペクトル / 電子波束 / レーザー / 多重イオン化 / 動力学理論 |
Research Abstract |
多電子系ダイナミクスを評価するために、多配置波動関数が時間とともにどのように変化するかを記述する電子動力学運動方程式を導出した。この方法では、各電子配置を表すスレーター行列式の係数とグリッド基底を使った分子軌道関数の双方を時間発展させ、少ない電子配置で多電子系の時間発展を適切に近似できる。まず、分子軸方向に偏光したレーザー場中のH_2に対して適用した。電子は主に分子軸と平行なz軸に沿って大振幅の往復運動をするが、イオン化への寄与が大きいσ軌道は偏光面に垂直なρ方向にも広がる。この多配置描像ではHOMO以外の分子軌道(LUMO+1)の寄与が大きい。この偏光では、π軌道からのイオン化確率は小さく、分子軌道の"個性"がその電子ダイナミクスに強く反映しする。軟X線高次高調波発生についても1電子近似を越えた解析も行っている。 C_<60>の非遂次的イオン化の機構についても調べた。C_<60>が10fsより短いパルスと相互作用する場合、一つ一つの電子がはぎ取られ遂次イオン化モデルでは多価イオンの生成効率を説明することはできない。この現象が多くの電子が非断熱的に励起され、パルス照射後20fs以内にさらに電子が放出される遅延イオン化によることを時間依存密度汎関数法を用いて明らかにした。C_<60>の電子状態は250個の電子で閉殻構造をとるjelliumモデルを用いて表した。また、高次高調波スペクトルによる分子構造の同定(C_<60>の扁平や偏長構造)を目指して、その計算手法の開発に着手した。
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