2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子の光誘起超高速電子ダイナミクス-電子動力学法の開発と光電子スペクトル計算-
Project/Area Number |
19350001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河野 裕彦 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (70178226)
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Keywords | 原子・分子物理 / イオン化 / レーザー / 電子動力学理論 / 高次高調波 |
Research Abstract |
多電子系の非断熱励起状態ダイナミクス及びイオン化確率を評価するために開発した多配置時間依存Hartree-Fock法を分子軸方向に偏光した高強度近赤外レーザー場中のH)_2に対して適用した。まず、分子軸方向に偏光したレーザー場中のH_2に対して適用した。この多配置描像ではHOMO以外の分子軌道2σg(LUMO+1)のイオン化への寄与が大きい。電子は主に分子軸と平行なz軸に沿って大振幅の運動をするが、この偏光でイオン化への寄与が大きいσ軌道は偏光面に垂直なρ方向にも広がる。軟x線高次高調波発生についても1電子近似を越えた解析を行い、本手法で放出された電子の運動エネルギーが正しく見積もられ、再散乱現象やそれに伴う電子同時イオン化を再現できていることを確認した。1σ_g 2σ_gの主配置を持つ励起状態が生成し、その確率が電場の時間変化に非断熱的に変化することがわかった。つまり、非断熱励起状態ダイナミクスが高強度近赤外レーザー場中のイオン化ダイナミクスを支配していることを明らかにした。 また、C_60の10fsより短いパルスによるイオン化の機構についても調べた。C_60がこのようなパルスと相互作用する場合、一つずつ電子がはぎ取られる遂次イオン化モデルでは多価イオンの生成効率を説明できない。時間依存密度汎関数法をjelliumモデルに適用して、この現象が多くの電子が非断熱的に励起され、パルス照射後20fs以内にさらに電子が放出される遅延イオン化によることを明らかにした。現在、放出電子の角度分布を解析中である。
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Research Products
(14 results)