2008 Fiscal Year Annual Research Report
気体-液体界面におけるヨウ化物イオンの溶媒和構造と不均一反応の解明
Project/Area Number |
19350005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真船 文隆 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50262142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣川 淳 北海道大学, 地球環境科学研究, 准教授 (20262115)
宮島 謙 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (20365456)
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Keywords | 液体ビーム / 多光子イオン化 / 質量分析器 / 不均一反応 / 気体-液体界面 / 濡れ壁法 / 化学イオン化法 |
Research Abstract |
気体口液体界面は、液体側には溶質・溶媒が無限に存在する一方、気相側には分子が全く存在しないという、極めて特徴的な微視的環境を形成する。このため、液体表面に存在する分子は、バルクとは異なる溶媒和構造をとり、異なる反応性を示すと考えられる。特に、ヨウ化物イオンは、理論計算によると、水溶液表面に多く存在することが示唆されており、これらが環境大気に及ぼす影響は無視できないと考えられている。本研究の目的は、気液界面での分子やイオンの溶媒和構造や化学反応を微視的レベルで解明することである。平成20年度は、現有の装置および19年度予算で購入したパルスOPOレーザーを用いて、水溶液表面イオンの共鳴多光子イオン化脱離スペクトルを測定した。具体的には、液体ビームに対して垂直方向からパルスレーザーを照射し、液体表面から放出される電子を電場によって引き出し、マイクロチャンネルプレートによって、その生成量を測定した。ハロゲン化ナトリウム水溶液中に存在するハロゲン化物イオンは、紫外〜真空紫外領域に光吸収帯(CTTS(Charge Transfer ToSolvent)バンド)をもつ。水溶液中のヨウ化物イオンは、5.6eVの領域にCTTSバンドをもち、その吸収スペクトルは220nm付近にピークをもつ。我々の測定の結果、水溶液表面ではこの吸収が長波長側にシフトすることがわかった。この結果は、液体表面から生成するイオンを測定した場合と比較しても整合性のとれた結果である。これらのシフトは、基底状態のI-の溶媒和の度合いは水溶液中でも表面でも殆ど変化しないが、励起状態のI-*は液体表面でより安定化されるためと考えられる。
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Research Products
(16 results)