2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 晃一 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (40175659)
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Keywords | 表面吸着分子 / 密度汎関数法 / 単一分子電気伝導 / 非平衡グリーン関数法 / 電子格子相互作用 / 第一原理計算 / Kohn異常 / 表面電荷密度波 |
Research Abstract |
[I]表面吸着分子のコンダクタンス:単一分子電気伝導の詳細な電子輸送,移動機構についての知見を得るめには,単純ななモデル計算ではなく,表面の寄与を正しく含んだ現実的なコンタクト領域に対する電子輸送過程での第一原理計算が必要である。そこでNEGF法とハートレー,フォック法との組み合わせによる非経験的かつセルフ,コンシステントな方法論を開発した。また密度汎関数法と組み合わせ,(1)埋め込みポテンシャルの導入による散乱領域のサイズダウン,(2)分子軌道を基底としたグリーン関数の摂動展開によるSCF計第,(3)分子軌道基底の,不活性軌道,活性軌道,空軌道への分割,等によりグリーン関数行列の大幅なサイごダウンとSCF計第の高速化を実現し,大規模な分子系への応用を可能とした。[II]表面における電子格子相互作用:第一原理計算及びモデル計算を用いて表面吸着種に誘起された格子振動と表面に局在した電子状態との結合に関して検討を行った。アルカリ金属/金属表面系では表面吸着種に誘起されたモードにより表面励起状態の寿命が強く支配されることを示した。水素/金属表面は第一原理計算手法(DFPT法)を用いてKohn異常が確認されている系で表面フォノンの電子格子相互作用による寿命について計算を行った。水素局在モードは表面モードよりも電子格子相互作用による影響をより強く受け,また,水素モード間でもその対称性によりフォノン寿命が大きく異なることを示した。電荷密度波の形成に関しては密度汎関数法に基づいた第一原理計算を行った。これまでの光電子分光実験で確認されたフェルミ面のネスティングを再現することに成功した。さらに表面でのポテンシャルが吸着種により変化を受けることでバルクバンドギャップに電子状態がシフトすることで,表面電荷密度波が形成されることを理論的に明らかにした。
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