2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 隆人 独立行政法人理化学研究所, 量子系分子科学研究チーム, チームリーダー (10312993)
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Keywords | 理論化学 / 超分子科学 / 大規模分子理論 / 相対論的分子理論 |
Research Abstract |
超分子に対するNMRやEPRのような磁気的性質を理論的に計算し解明するための分子理論の開発を行った.このために,われわれが開発してきた大規模分子系の電子状態計算に適した新しい「大規模分子理論」と多彩な原子種からなる分子系の計算を実現するための「相対論的分子理論」を融合させた.本申請期間中に開発を行ってきたGaussian-有限要素Coulomb(GFC)法に基づいた密度汎関数(DFT)法に対してスピン-軌道(SO)相互作用を変分的に考慮できるように2成分型に拡張した.この2成分型SOGFC法では,Douglas-Kroll(DK)法,RESC法,Regular近似法により十分な相対論効果を考慮することが可能である.SOGFC法は非相対論の場合のGFC法と同じ計算コストで,線形スケーリング計算を達成することができる.さらにその解析的エネルギー微分法も開発した.SOGFC法とそのエネルギー微分法により,超分子のような重原子を含む大規模な分子系に対して精度の高い分子科学計算が可能になる.このSO相互作用を変分的に考慮できる大規模分子理論に基づいて,NMR化学シフトを計算するために相対論的IGLO法を新たに開発した.NMR化学シフトの他にも大規模分子系のゼロ磁場分裂やEPRのg値に対する分子理論も開発した.前年度までの研究によりGFC法は価電子が寄与する物性を高い精度で計算することができることがわかっていたが,本年度開発したSOGFC法は内殻電子が寄与する物性計算にも有効であることがわかった
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Research Products
(8 results)