2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350012
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青木 百合子 Kyushu University, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (10211690)
|
Keywords | DNA / 塩基配列 / Elongation法 / 電子状態 / 局所状態密度 |
Research Abstract |
溶媒の下でDNAの電子状態の理論的重合が可能となるよう、まずは分極連続体(PCM)法をElongation法に導入し、水中でのDNA計算が可能となるように発展させた。PCM法による水中でも、Elongation法の全エネルギーの従来法との誤差が10^<-8>au/atomと、極めて高い精度を達成していることを確認した。さらに電場の効果が導入できるようにプログラムを開発し、電場下でのDNAの分極率、超分極率の計算を行った。また、Elongation法による各シーケンス上における局所状態密度の算出、不純物や欠陥が含まれる系に対しても適用可能かどうか詳細にチェックを行った。その前段階として、ナノチューブなどのπ電子が非局在化している大規模系に対して、局在化の悪い幾つかの軌道をActive領域に導入することにより、計算精度を2桁も上げることが出来た。DNAの電気伝導性を論じるためには、非局在化した軌道の扱いが必須であるが、本方法により、導電性を有する場合でも、本方法により高精度で効率よく電子状態を算出することができると期待できる。 現在のElongation法では、各ステップごとにそれぞれの座標を用意する必要があったが、全系の座標をひとつ用意すると、必要なパラメータさえ入力すれば、あとは自動的にシーケンスを伸長していけるようにプログラムの改良を行った。実際にB-DNA (Poly(dG)・Poly(dC))の20残基に対して本方法を用いた計算を行い、本方法により溶媒のない真空中での計算と同様、溶媒中でも極めて高精度で計算可能であることを確認するとともに、手軽にDNAの計算が出来るようになった。 さらに、NLO特性を調べるためにFinite-Field法によるElongation法によってB-DNAを計算したところ、DNAの分極率および超分極率を得ることができた。しかし、γ(2次の超分極率)において、電場とともに負で増大するという現象をおきたため、現在その原因を調べている。またMultiple expansion法と基底カットオフ法を組み合わせたQFMM-AO-cutoff法を開発し、さらにオーダーNに向けて計算効率がアップしたため現在種々の系に適用している。
|
Research Products
(26 results)