2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南部 伸孝 Kyushu University, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (00249955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 俊正 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 准教授 (50212890)
徳江 郁雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90101063)
中村 宏樹 分子科学研究所, 大学共同利用機関等, 所長 (10010935)
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Keywords | 非断熱現象 / 化学反応動力学 / 電子励起状態 / レーザー光による反応制御 / 水素吸蔵 / 電荷移動反応 / 凍結ガウス関数発展法 / 線形応答理論 |
Research Abstract |
平成19年度は研究計画に従い、主に下記のテーマに関する研究を実施した。 1.「炭素を骨格とするフラーレンやカーボンナノチューブへの水素透過過程の理論提案」 本研究の基本的なアイディアは、炭素フラーレンやナノチューブを構成する5員環や6員環のまわりをホウ素置換することによりヒュッケル則を満たさない不安定な系に仕立て、水素原子が近接することにより非断熱遷移を人工的に起こさせ、それにより完全透過現象を生じさせ、プロトンとなって5員環や6員環を透過させることである。本年度は、これまでホウ素置換を用いて提案してきたが、実験による実現性が乏しいことからフッ素付加を用いて同様な現象の可能性を探り、ほぼ同様な環透過過程が期待されることを提案した。また、窒化ホウ素ナノチューブによる可能性も探った。 2.「溶液中の電子移動反応に関するMarcus理論を超える非断熱遷移状態理論の実証」および「蛍光タンパク質内プロトン移動反応に関する理論研究」 本研究では二つの成果が得られた。一つは、研究計画では予定していなかった分子ではあるが、ビスインドリルマレイミド誘導体の光吸収および発光過程の理論的解明であり、溶液中の非断熱遷移を伴った電子移動反応であることが本研究により判明した。また、この系は蛍光タンパク質内プロトン移動反応と類似現象が期待されることも判明した。一方、このような系を理論的に厳密に記述する半古典理論に基づく基礎理論開発とシミュレーションプログラム開発を本年度実施した。平成20年度は開発されたプログラムを用い、半古典論に基づく分子動力学シミュレーションを実施する。
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Research Products
(20 results)