2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南部 伸孝 Sophia University, 理工学部, 教授 (00249955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 俊正 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 准教授 (50212890)
徳江 郁雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90101063)
中村 宏樹 分子科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 所長 (10010935)
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Keywords | 励起分子素過程 / 非断熱遷移 / 大気科学 / 地球科学 / 水素吸蔵 / 量子ダイナミクス / 半古典動力学 / 電荷移動反応 |
Research Abstract |
物質の特異性や分子の様々な機能が発現する要因の一つに分子の量子力学的振る舞いがある。その中で特に,非断熱遷移は特異性を現す基本的なメカニズムをなしている。本研究課題では,Zhu-Nakamura理論に基づき開発された汎用基礎理論を用い,この非断熱現象を生物系においては解明から研究を始め,反応制御を提案した。一方,分子設計においてその現象を積極的に応用し,物質の機能発現と反応制御の実現を目指した。 具体的には以下に示す主要4課題を実施し,本研究課題の総括を行った。 (1) 炭素を骨格とするフラーレンやカーボンナノチューブへの水素透過過程の理論提案 (2) 分子の回転運動と非断熱遷移過程の解析 (3) 蛍光タンパク質内プロトン移動反応に関する理論研究 (4) 溶液中の電子移動反応に関するMarcus理論を超える非断熱遷移状態理論の実証 但し,(1) のテーマでは主な対象を炭素フラーレンやカーボンナノチューブと限定していたが,窒化ホウ素ナノチューブを用い,水素分子吸蔵へ研究の対象を発展させた。(2) のテーマでは,応用領域として地球科学・大気科学を取り上げ,非断熱現象を含む量子効果がもたらす分子の特異性が,それぞれの分野において大きな意義を示すことを理論的に解明した。 最後に本研究課題の総括として,国際会議「The 69th Okazaki Conference on "New Frontier in Quantum Chemical Dynamics"」を主催し,様々な学際的分野において非断熱現象の重要性とこの研究の将来性を,十分示すことが出来たと思われる。
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Research Products
(33 results)