2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン蓄積リングを用いた冷イオン分子分光と輻射冷却過程の分光学的追跡
Project/Area Number |
19350015
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
城丸 春夫 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 准教授 (70196632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 健 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (20285092)
奥野 和彦 首都大学東京, 理工学研究科, 客員教授 (70087005)
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Keywords | 静電型イオン蓄積リング / 輻射冷却 / フタロシアニン / フラーレン / 色素 / LDI / MALDI / レーザー分光 |
Research Abstract |
本年度は多種の分子イオンを対象として実験を行った。主な成果を以下に示す。 高温のフタロシアニン亜鉛負イオンを静電リングに蓄積し、レーザー合流実験を行ったところ、遅延電子脱離による中性化の励起スペクトルに、イオン冷却に伴う蓄積時間依存性を見出し、多光子吸収の蓄積時間依存性から冷却速度が求められることを示した。一方、一光子吸収過程による中性化における励起波長依存性を詳細に調べることにより、フラーレン負イオンの輻射冷却速度を求めた。 また、レーザー脱着イオン化法(LDI)およびマトリクス支援レーザー脱着(MALDI)法で生成した色素分子正イオンの蓄積、レーザー合流実験を行い、解離の励起スペクトルが溶液における正イオンの吸収スペクトルとよく一致すること、マトリクスの有無により負イオンの内部温度が異なることを見出した。さらにセシウムスパッタ型イオン源で生成した直鎖炭素分子イオンについてミリ秒領域の準安定状態が存在することを明らかにし、寿命の鎖長依存性について検討を行った。新たな試みとして、2原子分子の準安定状態について高分解能分光実験により回転状態を分離した寿命測定を行った。 イオン源開発については、ガス中レーザー脱着により生成したイオンをガス流と電場によって制御し、イオンガイドを利用したトラップを用いることにより十分に冷えたイオンを得ることに成功した。 以上の結果は内外の学会で報告するとともに論文として公表した。
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