2010 Fiscal Year Annual Research Report
イオン蓄積リングを用いた冷イオン分子分光と輻射冷却過程の分光学的追跡
Project/Area Number |
19350015
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
城丸 春夫 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70196632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 健 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (20285092)
奥野 和彦 首都大学東京, 理工学研究科, 客員教授 (70087005)
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Keywords | マクロ分子 / レーザー分光 / 炭素分子 / 静電リング / 輻射冷却 |
Research Abstract |
本年度も首都大の静電リング(TMU E-ring)に様々』なイオンを周回させ、冷却過程の研究を行った。静電リング実験に関係する実験技術として、イオン源、位置有感飛行時間計測・解析技術の開発や高感度イオン検出器の開発も継続して行っている。 高温の直鎖炭素分子負イオンを蓄積し、レーザー分光を行ったところ、スペクトルには輻射による冷却の効果が明確に観測された。片方が水素で終端した直鎖炭素分子イオンの結果とともに2011年の国際学会で発表予定である。直鎖炭素分子に関しては、その生成過程を調べるために、高エネルギーイオンビーム照射の実験も行った。また金クラスター負イオン(2量体から7量体)を蓄積し、励起状態の寿命測定を行った。 一方、リング入射用のイオン源の開発としては、エレクトロスプレー型イオン源が完成し、リング入射が可能になったことが大きな前進であった。現時点ではプリトラップからパルス引き出しされるイオン数が10^2個前後と少ないことが問題として残っているが、メチレンブルー正イオンをリングに周回させることにより、蓄積寿命の測定やレーザー分光が可能であることを確認した。分光測定には時間がかかったが、イオンは比較的冷えているという結果が得られている。また、イオン源の温度を制御することにより、メチレンブルー正イオンに付着した水分子のサイズ(n)依存性に特異的な魔法数(n=1-3が存在せず、n=24個が特異的に強い)が出現することを見出し、分子軌道計算を参照して水和構造及び水クラスターの蒸発過程に関する知見を得た。 以上の研究成果は内外の学会で発表するとともに、一部は論文として発表した。リング蓄積したフタロシアニン亜鉛負イオンの温度測定実験の結果については現在投稿中で、査読者のコメントを受けて加筆している段階である。
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