2007 Fiscal Year Annual Research Report
開殻系分子の安定化に基づく新規分子変換反応の開発と機能化
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19350021
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安倍 学 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (30273577)
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Keywords | 分子変換反応 / ラジカル / 環化反応 / 導電性 / スピン多重度 |
Research Abstract |
カチオン、アニオン、ラジカル、カルベンなどの反応性中間体の基礎研究の成果が現在の化学反応論、有機合成化学、機能性材料の科学を支えているように、一重項ビラジカルに関する更なる研究は、学術的のみならず産業的にも極めて重要である。平成19年度を以下の研究成果をあげた。 量子化学計算を用いた長寿命一重項ビラジカルの分子設計:一重項ビラジカルの寿命はその分子内環化反応の速度で決まるので、その環化反応を抑制する手法を見出すことが一重項ビラジカルの長寿命化に直結する。分子内環化生成物よりもエネルギー的に安定な一重項ビラジカルの分子設計が可能であれば、極めて長寿命な一重項ビラジカルの発生が実現できる。そこで、一重項ビラジカルの熱力学的な安定化と同時に対応する分子内環化生成物の不安定化を達成するために、1,3-ビラジカルの骨格内にヘテロ原子を有するビラジカルに着目し、その最安定スピン多重度ならびにその環化体とのエネルギー差を見積盛った。その結果、一重項ビラジカルの方が環化体よりも安定となるヘテロ原子Siを有するビラジカルの分子設計に成功した。 寿命一重項ビラジカルの実験化学的発生:ケイ素原子を有するビラジカル誘導体の実験的発生は、次に示す方法を用いて行った。すなわち、クリーンで且つ効率的なビラジカル種の発生に極めて有効であるアゾ化合物の脱窒素反応を用いる手法である。それらのアゾ化合物は、合成容易なピラゾール誘導体を用いた環化反応で合成した。合成した化合物の単離に今回備品として購入した「リサイクル分取HPLC」を用いた。また、アゾ化合物の検出に今回備品として購入した「紫外可視分光光度計」を用いた。その結果、これまで分子内反応の中間体としてのみ考えられてきたビラジカルの分子間反応に成功した。
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Research Products
(5 results)