2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350023
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
門田 功 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30250666)
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Keywords | ポリ環状エーテル / 全合成 / シガトキシン / ブレベナール / 収束的合成 / 分子内アリル化 / 閉環メタセシス |
Research Abstract |
本研究の目的は、海洋産の渦鞭毛藻が生産するポリ環状エーテル類の効率良い合成ルートを確立することにある。これらの化合物は、赤潮による魚介類の大量死や大規模な食中毒によって沿岸漁業に大きな被害を与えるため、深刻な社会問題となっている。その強力な神経毒性の作用機構に興味が持たれているが、天然からの供給がほぼ不可能であるため、化学合成による試料供給が重要な課題となっている。そこで、独自に開発した分子内アリル化反応と閉環メタセシス反応を基盤とする収束的合成法を用い、これらポリ環状エーテルの効率的全合成について研究を行った。本年度は以下に示すようにシガトキシンCTX3Cとブレベナールの合成について検討した。CTX3Cは珊瑚礁海域で頻発する大規模な食中毒シガテラの原因毒である。文献記載の方法で合成したAB環部とE環部から環化前駆体を合成した。この化合物にルイス酸を作用させて分子内アリル化反応を行った後、閉環メタセシスを行い、分子左側部分であるA-E環部を合成することができた。同様の方法論を応用し、ブレベナールの合成についても検討した。この化合物は赤潮原因毒であるブレベトキシンBのナトリウムチャンネルへの結合を阻害するものの、自身は毒性を示さないことからその活性発現機構に興味が持たれている。まずABC環部であるカルボン酸とE環前駆体となるアルコールをエステル縮合した後、数段階で環化前駆体とした。これにルイス酸を作用させ、さらに閉環メタセシスを行うことでブレベナールの基本骨格の合成に成功した。
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Research Products
(9 results)