2007 Fiscal Year Annual Research Report
特異な化学構造と顕著な生物活性を有する多環性高次構造天然物の全合成研究
Project/Area Number |
19350027
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
宮下 正昭 Kogakuin University, 工学部, 教授 (50006326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷野 圭持 北海道大学, 理学研究院, 教授 (40217146)
南雲 紳史 工学院大学, 工学部, 准教授 (40246765)
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Keywords | ゾアンタミン / ソラノエクレピン / コルチスタチンA / ゾアンタミン系アルカロイド / 全合成研究 / 海産天然物 / 生物活性天然物 |
Research Abstract |
微量分析技術の飛躍的発展により,特異な化学構造ならびに顕著な生物活性や薬理活性を示す微量天然物が自然界から次々と発見されている。スナギンチャクの代謝産物から発見されたノルゾアンタミンは新規骨粗籟症治療薬のリード化合物として、またゾアンタミンは新しい抗炎症剤および鎮痛剤として非常に注目されており、一方、インドネシアの海綿から単離されたコルチスタチンAは血管新生阻害に基づく強力な抗腫瘍活性を有し、新規抗癌剤のリード化合物として期待されている。しかし、これらの天然物を自然界から量的に確保することは至難であり、詳しい作用機序の解明や新規医薬品に向け、化学合成による供給が強く望まれている。 我々は2004年にノルゾアンタミンの化学合成に始めて成功した。その後、ゾアンタミンの合成研究に精力的に取り組んできたが、研究計画で述べた二通りの合成ルートを検討した結果、C19位の立体選択的メチル化反応の開発に成功し、2007年にゾアンタミンの最初の全合成を達成した。これにより、ゾアンタミン系アルカロイドの効率的な化学合成法が拓かれたことになり、作用機序の解明や新しい医薬品の開発の研究に弾みがつくものと期待される。また、コルチスタチンAの合成上の最重要課題であるイソキノリン骨格の導入法に成功するとともに、DE環部の立体選択的な合成法を確立した。次年度はABC環部の合成を検討する予定である。
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