2009 Fiscal Year Annual Research Report
特異な化学構造と顕著な生物活性を有する多環性高次構造天然物の全合成研究
Project/Area Number |
19350027
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
宮下 正昭 Kogakuin University, 工学部, 教授 (50006326)
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Keywords | ノルゾアンタミン / ゾアンタミン / ゾアンテノール / ゾアンタミン系アルカロイド / 全合成研究 / コルチスタチンA / ソラノエクレピン / 生物活性天然物 |
Research Abstract |
微量分析技術の飛躍的発展により,特異な化学構造ならびに顕著な生物活性や薬理活性を示す微量天然物が自然界から次々と発見されている。スナギンチャクの代謝産物から発見されたノルゾアンタミンは新規骨粗鬆症治療薬のリード化合物として、またゾアンタミンは新しい抗炎症剤および鎮痛剤として非常に注目されており、一方、インドネシアの海綿から単離されたコルチスタチンAは血管新生阻害に基づく強力な抗腫瘍活性を有し、新規抗癌剤のリード化合物として期待されている。しかし、これらの天然物を自然界から量的に確保することは至難であり、詳しい作用機序の解明や新規医薬品の開発に向け、化学合成による供給が強く望まれている。 我々は平成16年にノルゾアンタミンの化学合成に世界で始めて成功するとともに、平成19年に本科学研究費の助成によりC19位にメチル基を有するゾアンタミンの最初の全合成を達成した。その後、芳香環を有するユニークなゾアンテノールの合成研究に精力的に取り組み、二通りの合成ルートを立案し、昨年(平成20年)、10数年にわたり国際的に競われていたゾアンテノールの化学合成に始めて成功した。これにより代表的な3種類のゾアンタミン系アルカロイドの効率的な化学合成法を開発できたことになり、今後、ゾアンタミン系アルカロイドの作用機序の解明や新規医薬品の開発に弾みがつくものと期待される。また、コルチスタチンAの合成上の最重要課題であるオキサビシクロ骨格の新規構築法の開発ならびにイソキノリン骨格の導入法にも成功した。現在、コルチスタチンAの全合成研究に力を注いでいる。また極く最近、ジャガイモシスト線虫の孵化促進物質として注目されているソラノエクレピンの化学合成に始めて成功した。
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Research Products
(24 results)