2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 和之 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 准教授 (20282022)
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Keywords | フタロシアニン / ポルフィリン / 磁気光学効果 / 磁性 / 一重項酸素 / 磁気キラル二色性 |
Research Abstract |
本研究では、光機能性錯体フタロシアニン(Pc)の示す大きな電子吸収・発光・磁気円偏光二色性(MCD)に着目し、(1)シリカやアルミナ微粒子へPc錯体を担持した有機-無機複合微粒子の科学の開拓と(2)無機磁性材料へPc錯体を担持した有機-無機複合型磁性材料における新規磁気光学物性の発現を目的とする。 本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)ナフタロシアニン(Nc)担持シリカゲル微粒子Ncは(1)Pcより長波長(800nm)の光を吸収すること、(2)一重項酸素を長寿命化する励起状態平衡が期待できること等の特徴を持つ。これら特徴に着目し、前年度の研究成果を発展し、溶液中のモノマーと同等の光物性を有するNc担持シリカゲル微粒子を合成することに成功した。これより、一重項酸素を長寿命化する機能性微粒子創製への指針を得た。 (2)Pc錯体の磁気光学効果と無機強磁性体の磁気ヒステリシスの融合無機磁性体の磁気ヒステリシスをPc錯体の持つ磁気光学効果へ付与できるかどうかを、各種無機磁性微粒子、無機磁性基板について検討した。本補助金で購入した電磁石・分光器を用い、Pc磁気光学効果の磁場依存性を調べたところ、無機強磁性基板上のPc磁気光学効果が強磁性的磁場依存性を示すことを見出した。これは、無機強磁性基板の持つ表面磁場をPc磁気光学効果が反映したことで説明できる。このような機構で、分子磁気光学効果に磁気ヒステリシスを付加できたことは初めてであり、分子磁気光学材料創製への指針を得た。 (3)磁気キラル二色性前述した電磁石・分光器を用い、磁気キラル二色性測定装置を開発した。光学活性ポルフィリンJ会合体が、その大きな自然円偏光二色性(CD)とMCDの相乗効果により、磁気キラル二色性を示すことを見出した。これまでに報告されている金属のd,d遷移、f,f遷移とは全く異なり、有機分子ππ*における初めての観測である。
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Research Products
(20 results)