2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸素活性種を含む金属錯体の創製と反応場による機能制御
Project/Area Number |
19350029
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 正樹 Kanazawa University, 物質化学系, 教授 (20091390)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古舘 英樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (40332663)
|
Keywords | 生物無機化学 / 合成化学 / 酸素活性種 / 機能モデル / 酸素錯体 / 反応活性種 / 金属酵素モデル |
Research Abstract |
Areneやalkaneの金属錯体による水酸化反応は,生体系にある様々な金属酵素の機能発現機構の解明や,工業的な酸化反応,さらにグリーンケミストリーの観点からも重要な課題となっている。これらarene及びalkaneの水酸化反応は異なった反応機構で進行すると考えられている。すなわちarene類の水酸化反応は芳香環のπ電子への酸素活性種による親電子的反応で進行すると推定されている。一方,alkane類の水酸化反応はラジカル的な水素原子引抜き反応で進行すると推定されており,本研究ではこうした様々な酸化能を持つ酸素活性種を含む金属錯体の分子設計を目的としている。 その結果,二核化配位子1, 3-bis[bis(6-methyl-2-pyridylmethyl)aminomethyl]benzene(L)及びその誘導体を含む新規高原子価bis(μ-oxo)二核ニッケル(III)錯体の合成に成功し,それらが配位子組み込んだキシリル基を水酸化することを世界に先駆けて見出した。また,水酸化反応の速度論的研究から,水酸化反応はキシリル基に組み込んだ置換基の電子供与性が強いほど早くなることから,この水酸化反応はオキソ基の芳香環に対する親電子的置換反応で進行していることが明らかとなった。また,これまでの研究で同じ配位子を含む銅錯体では(μ-η^2:η^2-peroxo)二核銅(II)錯体が得られることを見出しており,この銅錯体もキシリル基の水酸化能を持つことから,これらbis(μ-oxo)基及び(μ-η^2:η^2-peroxo)基はよく似た酸化能を持つという興味ある結果が得られた。
|
Research Products
(6 results)