2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350033
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梅林 泰宏 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (90311836)
|
Keywords | イオン液体 / X線散乱実験 / 分子動力学シミュレーション / Raman分光 / DFT計算 / 液体構造 / ダイナミクス / 構造活性相関 |
Research Abstract |
本研究は、イオン液体に分子論的にアプローチし、液体構造とダイナミクス・イオニクスの構造活性相関を明らかにすることを目的とする。平成19年度は、以下に挙げる研究を進めた。 (1)非プロトン性イオン液体の液体構造とダイナミクス (2)非プロトン性イオン液体のリチウムイオン溶媒和とリチウムイオンイオニクス (3)プロトン性イオン液体の液体構造とプロトニクス 具体的な成果として、(1)では、典型的なイオン液体であるイミダゾリウム系およびピロリジニウム系イオン液体について、X線散乱実験と分子動力学(MD)シミュレーションを組み合わせ、液体構造を原子レベルで明らかにすることに成功し、液体状態では、イミダゾリウムが陰イオンと強く相互作用することを明らかにした。これは、ダイナミクスからの考察と一致し、構造活性相関を解明することができたというる。(2)では、Raman分光およびDFT計算から、リチウムイオンの溶媒和構造を解明することに成功した。最近、一連のアルカリ金属イオンに展開し、アルカリ金属イオンとイオン液体構成陰イオンの相互作用では、静電的相互作用が支配的であることを明らかにした。さらに、(3)では、典型的なプロトン性イオン液体のX線散乱実験と行うとともに、MDシミュレーションに不可欠な力場を新規に構築し、実験および理論の両面から液体構造を原子レベルで解明することに成功した。つい最近、この系では、従来知られている非プロトン性イオン液体に比べ、ナノ相分離構造形成がより促進されていることを見出した。このことは、イオン液体のイオン間相互作用を制御することにより、ナノ相分離構造を制御できる可能性を示唆している点で興味深い。
|