2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梅林 泰宏 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 准教授 (90311836)
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Keywords | イオン液体 / X線散乱実験 / 分子動力学シミュレーション / Raman分光 / DFT計算 / 液体構造 / ダイナミクス / 構造活性相関 |
Research Abstract |
本研究は、イオン液体に分子論的にアプローチし、液体構造とダイナミクス・イオニクスの構造活性相関を明らかにすることを目的とする。平成20年度は、以下に挙げる研究を進めた。 (1)非プロトン性イオン液体の液体構造とダイナミクス (2)非プロトン性イオン液体のリチウムイオン溶媒和とリチウムイオンイオニクス (3)プロトン性イオン液体の液体構造とプロトニクス 具体的な成果として、(1)では、イミダゾリウム系イオン液体について、C2位をメチル化した試料について、X線散乱実験と分子動力学(MD)シミュレーションを組み合わせ、液体構造を原子レベルで明らかにすることに成功し、メチル化により長距離秩序状態は殆ど影響を受けないものの、最近接医符号イオン間相互作用の配向が大きく影響を受けることを明らかにした。これは、ダイナミクスからの考察と一致し、構造活性相関を解明することができたといえる。(2)では、Raman分光およびDFT計算から、一連のアルカリ金属イオンの溶媒和構造を解明することに成功した。アルカリ金属イオンとイオン液体構成陰イオンの相互作用では、静電的相互作用が支配的であることを明らかにし、アルカリ金属イオンの添加によりイオン液体の長距離秩序構造が大きく変化することを見出した。さらに、(3)では、典型的なプロトン性イオン液体のX線散乱実験と行うとともに、MDシミュレーションに不可欠な力場を新規に構築し、実験および理論の両面から液体構造を原子レベルで解明することに成功した。従来知られている非プロトン性イオン液体に比べ、ナノ相分離構造形成がより促進されていることを見出し、MDシミュレーションにより解析を行ったところ、これがイオン液体の持つ自己疎溶媒的な性質に基づくことを明らかにした。このことは、イオン液体のイオン問相互作用を制御し、ナノ相分離構造、さらにはイオン液体による溶媒和を制御できる可能性を示唆している。
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