2007 Fiscal Year Annual Research Report
アームドサイクレン配位子を基盤とするd-f複核錯体における発光特性の解明
Project/Area Number |
19350034
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
篠田 哲史 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00285280)
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Keywords | 光物性 / 超分子化学 / 希土類錯体 / 近赤外発光 / エネルギー移動 / 発光プロープ / サイクレン / d-f複核錯体 |
Research Abstract |
1.アームドサイクレン型多座配位子を利用した複核錯体のテンプレート合成:ピリジン環を側鎖に有するアームドサイクレン-希土類錯体をテンプレートとして、白金イオンやレニウムイオンなど高周期遷移金属イオンとの複核化を行い、高収率で3d-4f複核錯体が得らることを明らかにした。X線結晶構造解析により、希土類錯体の中心軸上に遷移金属錯体が形成された高い対称性をもつ錯体構造であること、およびUV、NMR、MS法による解析により、この錯体構造が溶液状態でも保持されていることを明らかにした。4重らせん構造をもつ不斉な複核錯体が高収率で得られる優れた構築法を開発することができた。 2.分子内励起エネルギー移動を利用した希土類イオンの近赤外発光:近赤外領域に発光を示すネオジム(III)、イッテルビウム(III)、またはエルビウム(III)イオンとレニウム(V)イオンを含む複核錯体において、レニウム錯体部位の可視吸収帯を光励起すると、分子内励起エネルギー移動による増感発光が室温・溶液状態で観測された。可視部に吸収帯を持たない、溶媒中の水による失活を受けやすいなど、近赤外発光を得る上で希土類錯体に付随する欠点が、レニウムとの複核錯体化により克服できたことから、結果的に発光効率の大幅な説上が達成できた。複核錯体では希土類イオンがレニウム錯体の電子状態に影響しており、その錯体構造ばかりではなく、発光特性や酸化還元電位が大きく変位していることが分かった。次年度はレニウム錯体の電子状態のより詳細な解析を行うことにより、発光メカニズムの解析をさらに進める予定である。
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Research Products
(4 results)