2008 Fiscal Year Annual Research Report
アームドサイクレン配位子を基盤とするdーf複核錯体における発光特性の解明
Project/Area Number |
19350034
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
篠田 哲史 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00285280)
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Keywords | 光物性 / 超分子化学 / 希土類錯体 / 近赤外発光 / エネルギー移動 / 発光プローブ / サイクレン / d-f複核錯体 |
Research Abstract |
アームドサイクレン配位子を活用して、分子内に希土類イオンとジオキソレニウムイオンを配位させたd-f複核錯体を合成し、その可視-近赤外変換特性や電子状態解析を行った。既知の近赤外色素との相対法により発光量子収率を決定したところ、ネオジムおよびイッテルビウムから放出される近赤外発光効率は溶液サンプルとしては既報の近赤外発光錯体の中で、もっとも高い部類に入ることが分かった。発光強度に対する溶媒効果の検討や発光寿命解析の結果、d金属との複核化による希土類発光効率の増大には、d金属錯体部位から希土類イオンへの分子内励起エネルギー移動効率の増大が大きく寄与していることを明らかにした。また、d-f金属間に強い静電的な相互作用が働き、光吸収帯やラマン吸収帯が希土類イオンの大きさによって系統的に大きく変化するなど、希土類イオンを用いることでd金属錯体の物性を精密にコントロールできることを明らかにした。また、複核錯体の高いカチオン性と分子内の2種類の錯体キラリティーに着目して、溶液内での不斉アニオンセンシングを検討した。複核錯体では不斉アニオンとの相互作用によって可視部のレニウム錯体の吸収帯に円二色性が誘起されたが、レニウム単核錯体では同様のシグナルはまったく観測されなかったことから、希土類錯体からレニウム錯体への分子内不斉転写が実現していることを明らかにした。高カチオン性の複核錯体は低濃度でもアニオンと強い相互作用を示したことから、アニオンのキラリティーに対する高感度検出の可能性を見出した。
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Research Products
(10 results)