Research Abstract |
初年度に続き,以下の(1)〜(6)を進めた.陰イオン性イオン会合試薬の合成・開発を進め,水溶液中で安定性に優れ,感度,選択性にも優れるトリフェニルメタン系イオン会合試薬の設計・合成に成功した.合成試薬を用いた基礎的特性の解析を行なうと共に,イオン会合滴定の指示薬としての有用性も実証した.陽イオン界面活性剤,逆性石けんの分離・分析的応用面の開発にも成功した.流れ分析による環境試料中の極微量のフェノール類の電気化学的自動化測定法および装置の開発に成功した.キトサンを基材とする固相抽出剤の合成に成功し,さまざまな金属陽イオン,オクソ酸陰イオンの捕集・濃縮にも成功した.特に固相抽出剤としてのキトサン基材樹脂を多数合成し,環境試料への応用を進めた. (1)精密イオン会合反応解析法の確立と比較的弱いイオン会合反応解析への応用:キャピラリー電気泳動 法(CE)を用い,弱いイオン会合反応解析を進めた.(2)イオン周囲の環境制御型高選択的試薬の合成開発:イオンの回りの水構造,発色団・助色団,π電子系,親水性/疎水性,置換基の寄与,イオン会合性を考慮し,平面型トリフェニルメタン系試薬の設計・合成を行い,新規合成開発のハロゲン置換試薬が水溶液中できわめて安定に存在することを実証した.(3)精密イオン移動度測定によるストークス半径,イオンの疎水性尺度,置換基の寄与の決定:精度と正確さに優れたCE/イオン移動度測定結果から,正確なストークス半径を求め,疎水性尺度,置換基の寄与を決定し,高選択的・高機能イオン会合試薬設計指針の基礎資料とすることができた.(4)合成試薬を用いるイオン会合滴定法の開発:塩化物イオン等ハロゲンイオンの滴定に指示薬として用いられることがわかった.(5)高選択的分離・分析法の開発と応用:合成試薬は水溶液でのイオン性物質のイオン会合反応/吸光光度定量に応用できることを実証した.(6)キトサン基材の固相抽出剤の合成・開発と環境試料への応用:金属,非金属の環境化学分析において,捕集・濃縮,マトリックスからの分離に成功し,感度,精度の向上を図ることができ,環境試料分析に応用した.
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