Research Abstract |
当該年度は,液液界面のin situ深さ方向分析法を確立するために,いくつかの予備的な実験を行った。すなわち,(1)液液界面における金コロイドの生成条件の確立,(2)ポリスチレン微粒子のレーザートラップ,(3)界面変位の測定,である。 1.水相に塩化金(III)酸水溶液,有機相に種々の疎水的な還元剤を加え,界面における反応の様子を,in situ顕微分光法により測定した。その結果,ある還元剤を用いたとき,界面に特異的に金コロイドが生成して会合し,ミクロな金属樹を形成した。そのin situ散乱スペクトルから,それぞれの金コロイドは,大きさ100-120nmであることが示唆された。 2.従来,レーザートラップには波長1064nmの高出力かつ高価なレーザーが使われてきたが,当該研究では,波長約800nmの半導体レーザーを採用した。この波長の光は,顕微鏡の対物レンズの透過率が高く,また目にも見えることから調整にも適している。直径約25μmのポリスチレン微粒子を水相中および液液界面近傍にトラップすることに成功している。 3.薄層二相マイクロセル内に,有機相と水相の溶媒を加えて,直径5mmの液液界面を作成し,市販のレーザー変位計を用い,液液界面の上下変動を測定した。その結果,界面の変動は1μm以下と極めて少ないことが明らかになった。さらに,直径を小さくすることで,振動のほとんどない液液界面を作成することができると期待される。この液液界面とナノメートルの空間分解能を有するピエゾ素子を用いて,界面に光ファイバープローブを接近させる予定である。
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