2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350041
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田端 正明 Saga University, 理工学部, 教授 (40039285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高椋 利幸 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (70291838)
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Keywords | 分離分析 / カラム不要分離法 / 流れ分離分析法 / イオン液体 / 混合溶媒 / 溶媒クラスター / 中性子小角散乱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、混合溶媒中に生成するミクロ溶媒クラスターの特性を利用して、混合溶媒をキャピラリーに流すだけで試料成分を分離する、分離カラム不要の新しい流れ分離分析法を創成することである。本年度は昨年度の実績を踏まえて、以下に示すように所期の目的を達成することができた。 (2)中性の4種のフェノール化合物の混合物を注入し、イオン液体と水との混合溶媒を流すと4種の化合物は明確に分離された。種々のイオン液体について検討した結果、高分子アルキル側鎖(C8,C10,C12)を持つイオン液体と水との混合溶媒が流れ分離分析溶媒として最適であった。C_<12>MIM+Br-と水との混合溶媒を用いる分離では、極性の化合物ほど遅く流れ溶出し、ピークの理論段数は一万以上であった。低分子アルキル側鎖を持つイオン液体と水との混合溶媒を用いる分離では、水溶性の中性高分子を添加すると分離精度が向上した。これらの結果より、高分子イオン液体程、あるいは高分子の共存によって、イオン液体の溶媒クラスターが生成しやすいことが明らかになった。 (2)溶媒クラスターの生成を中性子小核散乱法により直接観測することに成功した。アルキル側鎖が小さいイオン液体は通常の溶媒クラスターを生成するが、高分子イオン液体では、ミセルを形成していることが明らかになった。 以上のように世界で初めて、分離機能を持つ流れ分離分析法の創成に成功した。
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