Research Abstract |
近年「その場」での疾病マーカーの迅速,簡便な測定が強く望まれている。簡便な計測,システム構築の目的には電気化学測定デバイスを組み込んだマイクロチップの利用が好ましいが,疾病マーカーのその場測定のためには,電気化学測定については百〜千倍程度の感度の向上が必要,チップについては送液システムの簡便化が必要であるとの大きな課題が残る。そこで本研究では,a)化学増幅測定法の開発・利用による高感化,特に血液成分の妨害を受けない増幅系構築,b)マイクロリアクター技術の利用,c)化学修飾キャピラリーを用いたマイクロチップ構築と簡易な送液技術開発,を行い,これらの成果を統合して1)微量(数μL)の試料を用いるだけで,2)極低濃度(pM-fM)の,3)多種類の体液成分を,4)迅速かつ5)簡便(オンチップで送液ポンプ等不要)に測定するためのセンサーを開発する。20年度は19年度に開発した化学増幅法(グルコース酸化酵素反応により生成する過酸化水素をペルオキシダーゼ含有Os(II)錯体高分子膜上で反応させてOs(III)を蓄積させ、その後還元する方法)を利用した二成分測定系の試作,及び送液系の簡便化を可能とするための測定システム構築を行った。前者の具体例として,尿中腫瘍マーカーとクレアチニンの同時測定を行った。後者に関し19年度に開発した疎水性流路上に試料を滴下し,反対側から試料を吸引する過程で,流路に隣接した親水性のマイクロセル中に毛管現象により試料を導入する方法を利用したチップを開発するため,競合免疫測定においてB/F分離を必要とせず,ペルオキシダーゼ含有Os(II)錯体高分子膜上での過酸化水素測定を可能とする酸化酵素修飾抗体/ペルオキシダーゼ・Os(II)-bilayer修飾電極系の構築に着手した。
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