Research Abstract |
免疫センサーの高感度化の手法として,抗体に修飾された酵素反応→反応生物あるいは電荷の蓄積→測定との化学増幅手法を開発し,sub pM~pMレベルの抗原を測定する手法を確立した。心疾患,癌など重篤な疾病のマーカーのカットオフ濃度は,通常pMオーダーであり,本法により,これらを簡便に測定する基盤技術が確立できた。また,複数の成分を同時に高感度に測定するマイクロチップを構築した。マイクロチップによる測定の実用化に当たっては,ポンプフリーのシステム構築が必要不可欠であると考えられる。一方,比較低低分子の疾病マーカーの免疫測定においては,通常,免疫反応生成物のうち,抗原と結合した酵素修飾抗体と未反応の酵素修飾抗体との分離(B/F分離)→未反応の酵素修飾抗体の酵素活性測定のプロセスが必要となる。本研究では,当初,疎水性の試料導入口からの親水性のB/F分離チャンバーへの試料のピペット吸引による導入→同様の操作による緩衝液導入による洗浄→酵素基質溶液の導入による酵素反応・検出のプロセスを採用したが,操作が煩雑であった。そこで,ビーズに抗体を固定化し,電場によりビーズを移送する方法を採用した。即ち,試料と抗体固定化ビーズとをあらかじめ反応させた後に,この反応液をチップに導入し,チップの固定化抗原部位にビーズを移送した。数今,この状態で放置し,電場の印加を停止すると試料中の抗原と反応せずに未反応の抗原を有するビーズは抗原固定化部位に結合したまま残存するが,試料中の抗原と反応した抗体を固定化したビーズは結合されずにチップ内での対流により散逸する。これによりB/F分離を必要とせず,固定化されたビーズ上の酵素活性のみを測定することにより,試料中の抗原濃度を測定する簡易な手法を確立した。
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