2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350049
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高井 和彦 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00144329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國信 洋一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (40372685)
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Keywords | レニウム / マンガン / 炭素-水素結合活性化 / 不飽和分子の挿入 / β-ケトエステル / シクロペンテノン / 多置換ベンゼン / エナミン |
Research Abstract |
レニウム錯体は有機合成反応にどれだけ利用できるのかを明らかにすることを目的に研究を進めている。 「新規レニウム錯体の調製」については、グローブボックスを利用して研究をおこなっている。もう1つのテーマである「レニウムの新しい触媒作用の開拓と合成反応への利用」については、下記の反応を見いだした。 (1)重水素化実験の結果などより、レニウム触媒[ReBr(CO)_3(thf)]_2存在下のインデン合成が、C-H結合活性化を経由していること、活性化により生じたC-Re結合にアクリル酸エステルが挿入すること、挿入後の中間体からの還元的脱離やβ-水素脱離がおこらず、環化反応が進行することが明らかになった。 (2)レニウム触媒Re2(CO)_<10>を用いると、芳香族C-H結合だけでなく、オレフィン性C-H結合も活性化できることがわかった。たとえば、α,β-不飽和エステルの挿入反応によりシクロペンタジエンが生じること、そのジエンと錯体との反応でレニウムーシクロペンタジエン錯体がOne-Potで合成できることなどを見いだした。 (3)レニウム錯体Re2(CO)_<10>を触媒として用い、末端アルキンとピロリジノンをトルエン溶媒中で過熱したところ、アルキンにantiMarkovnikov型にアミドが付加し、E体の二置換エナミンのみが生成することを見いだした。 (4)レニウム触媒を用いると環状化合物において歪のない炭素-炭素単結合切断をともなうアルキン挿入がおこるが、直鎖化合物においても進行すること、さらに挿入反応のあとにフッ化テトラブチルアンモニウムを添加すると、アルコールの脱離を伴う分子内環化反応が促進されて2-ピラノン誘導体が得られることがわかった。同様の作用が同族のマンガン錯体にもあることも見いだした。 (4)レニウム触媒[ReBr(CO)_3(thf)]_2存在下、鎖状のβ-ケトエステルと末端アレンを反応させたところ、[3+2]付加環化反応が立体選択的に進行してシクロペンテン誘導体が生成した。この反応で生成するシクロペンテノン環上の3箇所の炭素原子の立体化学は完全に制御されることがわかった。 (5)マンガン触媒による1,3-ジカルボニル化合物と末端アルキンの[2+2+2]付加環化反応を見いだした。この反応は、アルキンめ環化三量化反応の欠点を補う反応となる。なお、類似の反応が、東大の中村、辻からも同時期に報告された。 (6)プロパルギルアルコールの水酸基を脱離基として利用し、そこに求核剤として1,3-ジカルボニル化合物を付加できることがわかった。
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Research Products
(27 results)