2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350052
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 高範 Waseda University, 理工学術院, 教授 (80265735)
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Keywords | 選択的合成・反応 / 有機金属触媒 / ファインケミカルズ / 不斉合成 |
Research Abstract |
遷移金属触媒を用いる[2+2+2]付加環化反応は、六員環化合物を合成する上で、原子効率が高く、かつ汎用性の広い反応である。特に分子内反応は、鎖状化合物からワンポットで多環状化合物を与える点で、魅力的な手法である。しかしながらこれまでの報告例では、アルキンやアルキンなどの三つの反応部位が直鎖上に連なった基質による反応がほとんどであり、分岐型化合物の検討に主眼点を置いた研究はなかった。 今回報告者は、1,1-二置換アルケンにより架橋されたエンイン、すなわち分岐型ジエンインについて総括的に検討を行った。その結果、カチオン性キラルロジウム錯体を用いることにより、多彩な光学活性多環状化合物が、高収率かつ高不斉収率で得られた。 例えば1,4-ジエンインの場合、アルキン末端の置換基、あるいは1,4-ジエンの2位の置換基の選択により、架橋型三環性化合物、スピロ化合物、縮環部にメチル基をもつ二環性化合物がそれぞれ選択的に得られた。いずれの生成物も不斉四級炭素を持ち、既存の手法では合成困難な光学活性化合物群である。さらに、本反応は1,5-、1,6-ジエンインへの展開も可能であり、七員環骨格を含む架橋型三環性、あるいは縮環型二環性化合物を高収率かつ高不斉収率で得ることができた。 これらの反応の機構について考察した結果、ジエンインの1,6-エンイン部分から生成する共通の中間体である二環性メタラシクロペンテンに対し、残りのエン部分の挿入する際の位置、方向性により生成物が決定されることが考えられ、重水素ラベル実験によりその一部が裏付けられた。 今後ケトンやイミンなどヘテロ元素を有する基質を用い、含酸素、窒素キラル多環状化合物の合成検討を行う予定である。
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