2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350052
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 高範 Waseda University, 理工学術院, 教授 (80265735)
|
Keywords | 選択的合成・反応 / 有機金属触媒 / ファインケミカルズ / 不斉合成 |
Research Abstract |
遷移金属触媒を用いる不斉付加環化反応は、光学活性環状化合物を合成する上で、原子効率が高く、かつ汎用性の広い反応である。これまで中心、軸、面、らせん不斉など、種々の不斉を誘起する反応が、報告者を含め多くの研究者より報告された。本研究は、付加環化反応により、過去に例のない新規な不斉骨格の構築法を開発を目指した。 本年度はまず、新規なテトラフェニレン骨格の構築法を開発するとともに、不斉反応への展開を行った。テトラフェニレンとは、4つのベンゼン環が全てオルト位で連結した環状化合物である。中心部分のオクタテトラエン骨格は、三次元の鞍型構造であり、さらにベンゼン環上への置換基の導入により不斉を生ずることから、剛直なキラル骨格として期待されている。そこで報告者は、すなわち、ベンゼン環のオルト位にエチニル基と1,6-ジイン部分を有するトリインを基質として用い、キラルRh触媒存在下反応させた。その結果、最初に分子間で1,6-ジイン部分とエチニル基が反応し、引き続き分子内で未反応のエチニル基と1,6-ジインが反応することにより、連続的不斉[2+2+2]付加環化反応が進行し、光学活性な置換テトラフェニレン化合物が高不斉収率で得られた。 さらに、分岐型トリインの分子内不斉[2+2+2]付加環化反応により、面不斉を有する三脚型化合物の合成を行った。すなわちこれまで、トリインの分子内[2+2+2]付加環化反応による三脚型かご型化合物を得る報告が2例あるが、いずれも収率が低く、さらにエナンチオ選択的不斉合成の例はない。そこで報告者は、o-アミノフェノールを骨格とし、その窒素上にジプロパルギル部分、フェノール性酸素原子の炭素鎖上にアルキン部位をもつ分岐型トリインを設計した。反応条件を検討した結果、キラルロジウム触媒を用いることにより、高収率かつ非常に高い不斉収率で目的の三脚型かご型化合物が得られた。
|