2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350053
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
向山 光昭 Kitasato Institute, 基礎研究所, 部長 (60016003)
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Keywords | 酸化還元 / 立体反転 / 中性条件下 / 脱水縮合 / ビスマス |
Research Abstract |
現在までに開発されている医薬品および機能性物質等にはエステル、アミド結合を有する物質が数多く存在しており、効率良くこれらの結合を合成する手法は有機合成上、重要な役割を果たしている。今回、従来法より簡便な操作かつ、より中性条件下に近い状態で進行する縮合反応の開発をおこなった。この方法は、ピリジン-3-カルボン酸無水物を縮合剤として用い、副生成物を油水分配操作によって容易に除去できる効率的な脱水縮合反応である。また、光学活性エステル化合物の合成については、アルコールに対し酸化-還元縮合反応によって立体反転を伴ってエステルが合成できることが報告されており、有用な反応の一つと考えられる。しかし、これらの反応では、混合物から目的物を単離することが困難であることなどの問題点が指摘されている。今回、クロロイミニウム塩(Vilsmeier reagent)を用いると、光学活性2級アルコールから、ほぼ完全に立体反転したエステルが得られることを見出した。この反応は、安価なDMFとオキザリルクロライドから簡単に合成できるVilsmeier試薬を用いる点、および副生成物はDMFとアミンの塩酸塩のみなので反応後、生成物の単離が容易な点、さらに温和な条件下で反応が進行するので、エピメリ化しやすい基質にも適用可能な点である。一方、医薬品の合成中間体として用いられるアリールトシラートの合成について検討した。その結果、新たに合成した5価のヘテロサイクリックピスマス化合物を用いると、ビスマス上での酸化還元反応により、目的のアリールトシラートが高収率で得られることを見出した。この方法は、従来法がフェノールを出発物質とするのに対し、これを特に調製することなく目的物が得られる点が興味深く、有用な手段として今後広く活用されるものと考えられる。
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Research Products
(4 results)