2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350053
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
向山 光昭 Kitasato University, 基礎研究所, 名誉所員 (60016003)
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Keywords | 合成化学 / 脱水縮合 / 立体反転 |
Research Abstract |
我々の研究室では、アルコールから調製される亜ホスフィン酸エステルが、弱酸性求核剤により、立体特異的に脱水縮合生成物を与えることを見出している。しかし、リン試薬由来の副生成物によって、目的物の精製操作がしばしば困難であるという問題が残されていた。今年度は、同様なタイプの反応が、リン試薬を用いずに進行させることができれば、より効率的な脱水縮合反応になると考え検討を行った。その結果、DMFから容易に調製可能なVilsmeier試薬をアルコールの活性化剤として用い、求核剤としてジニトロ安息香酸を反応させると、良好な収率で立体反転したエステルが得られることを見出した。この反応での副生成物はDMFであるため、非常に効率的な方法と言える。また、この反応は広い一般性を持つことが明らかとなり、有用かつ簡便なアルコールの立体反転反応として広く利用されるものと期待している。 アルデヒドからのアクリル酸エステルの一般的な合成法は、ウィティヒ反応や、ホーナーエモンズ反応が知られているが、いずれもリン原子を含む試薬に等量の強塩基を作用させて反応を行っている。当研究室で開発されたルイス塩基触媒によるアルドール反応を応用し、カルボニル化合物の触媒的オレフィン化反応について検討を行った。その結果、酢酸塩などのルイス塩基触媒存在下、カルボニル化合物に対してC,0-ビストリメチルシリルケテンアセタールを反応させることにより、高収率、且つ高立体選択的に対応するアクリル酸エステルを合成することができた。さらに、α位にフッ素原子を導入したケテンアセタールを用いても、同様に高収率、高立体選択性で対応するα-フルオロアクリル酸エステルを合成することができる。この方法は、上記の従来のオレフィン化反応に比べ、立体選択性も高く、共生成物であるシロキサンは低沸点のため容易に減圧留去できることから、極めて有用なアクリル酸エステル合成法として確立することができた。
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Research Products
(4 results)