2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁場変調型近接場AFM表面測定装置の開発と高分子超薄膜-水界面の解析への応用
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19350055
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北野 博巳 University of Toyama, 理工学研究部(工学), 教授 (40115829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
源明 誠 富山大学, 理工学研究部(工学), 助教 (70334711)
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Keywords | 赤外分光法 / Raman分光法 / 高分子ブラシ / 水 / 水素結合ネットワーク / 分子認識 / 局在表面プラズモン共鳴法 / 低温再結晶化 |
Research Abstract |
振動分光法を用いて、高分子薄膜中に収着した水の構造を調査した。高い生体適合性が見出されているポリメトキシエチルアクリレート(PMEA)中の水は300 Kから140 Kの間を0.5K/minで降温させると230K付近で凍結したが、急速に降温させた場合には、顕著な凍結が見られなかった。一方、140 Kから昇温に転じると、後者の場合、凍結しなかった水の一部が凍結後融解する「低温再結晶化」現象が観測された。この現象は降温速度に加えて、含水率にも大きな影響を受けた。さらに、疎水性で吸湿性が大きくないと考えられているポリスチレンにおいても同様の現象が観測された。このことから、徐々に降温させた場合に、高分子鎖に収着していた水分子が集合し凍結するのに対して、急速に降温させた場合には、水分子の高分子マトリックス内での拡散、会合体形成が間に合わないことが「低温再結晶化現象」となって現れるものと解釈することができた。ところで、非イオン性のPMEA以外に、双性イオン型高分子も優れた生体適合性を有することが見出され、そのいずれも近傍の水に対する影響が比較的小さいことが駆動力ではないかということを、我々は指摘してきた。そこで、正負電荷が異なる単量体中にある両性高分子についても振動分光法により検討したところ、正負電荷が拮抗している場合には、近傍の水に対する影響が最小になるという、新しい生体適合性材料を分子設計する際に有用な知見が得られた。
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